ICUに入った
母の状態で一番改善しなければならないのは肺炎だ。 この肺炎は膠原病が原因で起こる肺炎と推測されるが、母の状態があまりに酷いため、おそらくカビやウィルスがたくさんあるだろうということで、まずはこれを出来るだけ抑えてから『パルス療法』をしたいという計画になった。 それで、昨日から、2週間ほど60ミリのステロイドを投与し、その他に抗菌剤なども使って様子を見てみることになった。 『パルス療法』は3日間行われるもので、1日1000ミリを約6時間点滴で落としていく。 これは短期間で大量のステロイドを投与することにより、母の肺の病態を改善する狙いで行われるものだ。 ステロイドの点滴のおかげか、昨夜は母の熱が下がり、久しぶりに苦しむ様子もなくイビキをかいて寝たりしていた。 だが、ホッとしたのも束の間、病院から電話があり、母が夜中に急変してICUに入ったという連絡があった。 昨日、私たちが帰る頃には母は落ち着いているように思えたのに、呼吸不全になり、自発呼吸で酸素を十分に取り入れられなくなってしまったらしい。 それで、クチから管を入れて肺に直に酸素を送ることになり、その他に胸に管を入れて点滴を落とし、様子を見ることになった。 のどに管などを入れっぱなしにしなければならないが、異物がのどに入っていることは大変苦痛を伴うため、点滴で眠らせること・・・ 私は、自分が水の中に沈んでいるような、そんな感じがしていた。 水中に沈んだ状態で、そこから見える景色を、この現実を、見ているような、そんな感覚。 母がICUに入ったという、目の前の現実が、どこか、遠いもののように感じた。