入院
ここのところずっと母の話題だけれど、その母がとうとう入院することになった。
今日は父がお休みで家にいて、私はお仕事だったから、ずっと父が母を看ていてくれてたのだが、在宅業務の私の元へ20時過ぎにベランダから父がやってきて、私はそのとき電話占い鑑定をしていたのだが、ガラス越しに紙面で『救急車を呼ぶかもしれない。』と伝えてきた。
私はとっさに「えっ?」と思ったが、まさか鑑定中のお客様を放り出すわけにもいかず、結局そのお客様の鑑定は22時過ぎにまで及び、鑑定を終えてすぐに隣に行くと、妹が駆けつけていたところだった。
母の容態は昼間は微熱くらいにまで下がったものの、夜になると熱が出てくる状態で、ロクに食事もとれないし、病気の身体には良くないものばかり食べようとするし、つきっきりでいることも出来ないし、たとえつきっきりで居たとしても母の病気を治してやることは何も出来ないのだ。
入院も仕方ないのだろう。
妹はしっかりしている。
「お母さん、元気そうなフリはしちゃダメだよ。もう一歩も動けません、みたいなアピールをして、まずは車椅子を確保しよう。そして、明日は誰を差し置いても一番に身体のブツブツを診てもらえるように、今のうちからよ~~く病院側に言っておけばいいよ。」と色々と言っていた。
妹は過去に2~3度入院経験があり、どうやらそのときに培ったものらしい。
本当は明日、私と二人で皮膚科に行って、身体中のブツブツの原因が薬物アレルギーのために出たものなのかどうかを調べる予定だったのだ。
明日はそのためにお仕事をお休みしているのだが、どうなるのだろう・・・
というか、どうしたらいいのだろう・・・・・・。
今日は朝から雨が降り、湿気が強く蒸し暑い一日だった。
救急車が来るまでの間、私たちは母が入院するための用意をせわしなくして、妹が母と一緒に救急車に乗り、父は車で後を追うことになったのだが、私はなぜか母から聞いたこんな話をぼんやり思い出していた。
私がもうこの世に生まれ、妹が母のおなかの中にいた頃、その当時は今の家ではない借家に住んでいて、テレビの映りが悪く、アンテナの修理に来てもらったことがあったそうだ。
そのときの借家は天窓になっていて、修理の人に注意を促していたが、修理を終え、一度は無事に屋根から下りたものの、忘れものをしたことに気付いた修理屋さんは油断していたのだろう。
それを取りに行ったときに天窓を踏み外して落ちてしまったのだ。
その人の手首に割れたガラスが刺さり、母にそのガラスを抜いてくれと言ったので、母がとっさにそれを抜いてしまうと、血がすごい勢いで噴き出したのだそうだ。
父は修理屋さんが落ちるのを外で見ていて、あわてて戻ってきたらしいのだが、父がやってきたときには血が噴き出すシーンになっていて、きっとパニックを起こしてしまったんだろうな。
まるで熊のようにうろうろしながら「救急車、救急車・・・・・・。」と繰り返し言うだけで、結局母が救急車を呼び、タオルで傷口を押さえ、大きなおなかを抱えて大変な想いをしたようだ。
私はその場にいたらしいが、ほとんど記憶にない。
母のために救急車を呼んだからだろうか。
この時の出来事の話を、不意に思い出したのだ。
「お父さん、救急車が来たんだから、お母さんはもう大丈夫なんだからね。だから、安心して運転すればいいんだよ。」
私は父にそう言って送り出した。
父はそれに対し、ひとこと「暑い」と、返答にはならない言葉を返してきた。
ただでさえ蒸し暑かったのに、せわしなく動いた所為で、みんな汗だくになったから、父はそう言ったのだろう。
入院かぁ・・・・・・。
日頃元気でパワフルな母が入院だなんて、なんだかピンとこない。
これでちゃんと元気になってくれるといいな。