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9月, 2004の投稿を表示しています

短歌・その8

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秋祭り はやしにのって 神輿舞う 聴こえてきそう 妻の掛け声 華やかに 咲きほころびし 彼岸花 若かりし日の 妻の面影 母は本当に長い間、町内に貢献しましたが 中でも、二度ある町内のお祭りが大好きでした。 自分のネーム入りの提灯や法被も作り 神輿を汗だくになりながら担いだりして とっても精力的に参加しました。 母がこの世界を去っても そんなことは忘れてしまったかのようにお祭りはやってきますが 母の掛け声のない、母の姿を見掛けないお祭りなど まるで気の抜けたサイダーのようです。 素材: 十五夜 様

父への手紙

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お父さん もう33年になるんですね 逝った人にとって33回忌とは あの世で33年修行を積んでまた生まれ変わる事の出来る 大切な区切りの回忌だそうですね しかし 私は去年の11月に逝った妻がいます 家を留守にして 妻をひとりぼっちにして何日かを離れて暮らす事が 今の私にはまだまだとても出来ない・・・ お父さん あなたはお袋を置いて先に逝ったよね 愛する人に先立たれるって 淋しく 悲しく 身動きの出来ないほど辛いことだよ 33回忌 行けないけどわかってほしい 弱い息子を許してほしい 今度生まれる時は 戦争のない平和な国に 健康な身体で長生きして幸せになってください それから 妻に逢うことがありましたら伝えてください 私も 娘達も頑張っているって 私たち家族は神奈川に住んでいますが 父の実家は九州で 私がものごころついたとき、父側も母側も どちらも「おじいちゃん」と呼べる人はこの世に存在していませんでした。 母から聞いた父方のおじいちゃんの思い出話しは 父と母が結婚するために父の実家を訪れる事になった時 母が熟し柿が好きだと聞いたおじいちゃんが 母のために柿を取っておいてくれたというお話しで 母から聞いた母方のおじいちゃんの思い出話しは もしもあの世があるのなら、どちらかが先に死んだときに あの世があったことをハガキで知らせようと おばあちゃんと約束していたのだというお話しです。 ああ・・・私も母と約束すれば良かった。 時々でいいから、ちゃんと傍に居るんだということを知らせるために 夢に会いにきてねって。 そうしたら、もっと母の夢を見れたかもしれないのに・・・。 素材: MILKCAT 様

観音崎通り

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あなたが好きだった 観音崎、馬堀海岸通り この通りは あなたの香りがぷんぷんと ただよってくる通りだ 平成町方面 横須賀へ車で買い物に行くとき 家を出て 表通りに行くと あなたは問う 「浦賀駅、観音崎、どっちにする?」 私はいつもの調子で 「お前の良い方で・・・」 あなたはいつも観音崎通りの方へ 車を走らせた 買い物から帰って来るとき いつもあなたは好物のコロッケとイカフライを買って 馬堀海岸の岸壁の所に車を停める あなたは車の中で 私は岸壁によじ登り 海を眺めながら良く食べたよね 食べ終わり 浦賀駅、観音崎の交差点に来ると あなたは問う 「どっちにする?」 私はいつもの口調で 「お前の良い方で・・・」 あなたはいつも観音崎通りの方へ 車を走らせた 馬堀海岸、観音崎通りは 海に面した桜並木が続く山がある 車を走らせていると 鼻歌が出そうな とても素晴らしい通りだ あなたはこの通りが大好きだった ここを通ると いつもあなたの面影がよみがえり あなたの香りがぷんぷんただよう 思い出の多い通りだよ 父と母は休みになると 毎週のように出掛けていました。 父も免許を持っていますが、車の運転はいつも母で 年中喧嘩しながら行って帰ってくるようでした。 二人はいわゆる『喧嘩するほど仲がいい』という夫婦で 本当に幸せな夫婦だったと思います。 父の要望で、母が火葬されたあと 遠回りして観音崎通りを通ってもらいました。 母が大好きだった通りだから・・・。 素材: 夢幻華亭 様