父への手紙




お父さん
もう33年になるんですね

逝った人にとって33回忌とは
あの世で33年修行を積んでまた生まれ変わる事の出来る
大切な区切りの回忌だそうですね

しかし
私は去年の11月に逝った妻がいます
家を留守にして
妻をひとりぼっちにして何日かを離れて暮らす事が
今の私にはまだまだとても出来ない・・・


お父さん
あなたはお袋を置いて先に逝ったよね
愛する人に先立たれるって
淋しく 悲しく
身動きの出来ないほど辛いことだよ

33回忌 行けないけどわかってほしい
弱い息子を許してほしい

今度生まれる時は
戦争のない平和な国に
健康な身体で長生きして幸せになってください

それから
妻に逢うことがありましたら伝えてください
私も 娘達も頑張っているって




私たち家族は神奈川に住んでいますが
父の実家は九州で
私がものごころついたとき、父側も母側も
どちらも「おじいちゃん」と呼べる人はこの世に存在していませんでした。

母から聞いた父方のおじいちゃんの思い出話しは
父と母が結婚するために父の実家を訪れる事になった時
母が熟し柿が好きだと聞いたおじいちゃんが
母のために柿を取っておいてくれたというお話しで

母から聞いた母方のおじいちゃんの思い出話しは
もしもあの世があるのなら、どちらかが先に死んだときに
あの世があったことをハガキで知らせようと
おばあちゃんと約束していたのだというお話しです。

ああ・・・私も母と約束すれば良かった。
時々でいいから、ちゃんと傍に居るんだということを知らせるために
夢に会いにきてねって。

そうしたら、もっと母の夢を見れたかもしれないのに・・・。



素材:MILKCAT


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