観音崎通り
あなたが好きだった
観音崎、馬堀海岸通り
この通りは
あなたの香りがぷんぷんと
ただよってくる通りだ
平成町方面
横須賀へ車で買い物に行くとき
家を出て 表通りに行くと
あなたは問う
「浦賀駅、観音崎、どっちにする?」
私はいつもの調子で
「お前の良い方で・・・」
あなたはいつも観音崎通りの方へ
車を走らせた
買い物から帰って来るとき
いつもあなたは好物のコロッケとイカフライを買って
馬堀海岸の岸壁の所に車を停める
あなたは車の中で
私は岸壁によじ登り
海を眺めながら良く食べたよね
食べ終わり
浦賀駅、観音崎の交差点に来ると
あなたは問う
「どっちにする?」
私はいつもの口調で
「お前の良い方で・・・」
あなたはいつも観音崎通りの方へ
車を走らせた
馬堀海岸、観音崎通りは
海に面した桜並木が続く山がある
車を走らせていると 鼻歌が出そうな
とても素晴らしい通りだ
あなたはこの通りが大好きだった
ここを通ると
いつもあなたの面影がよみがえり
あなたの香りがぷんぷんただよう
思い出の多い通りだよ
父と母は休みになると
毎週のように出掛けていました。
父も免許を持っていますが、車の運転はいつも母で
年中喧嘩しながら行って帰ってくるようでした。
二人はいわゆる『喧嘩するほど仲がいい』という夫婦で
本当に幸せな夫婦だったと思います。
父の要望で、母が火葬されたあと
遠回りして観音崎通りを通ってもらいました。
母が大好きだった通りだから・・・。
素材:夢幻華亭様