短歌・その3




妻が逝き 一人暮らしで 仕事増え
我が手を見れば あかぎれとなり


桜の木 墓石の前で 咲き乱れ
独り占めして 今日も花見か


桜散る 墓石の上に 安らかに
寝かせるように 春の漂い




母亡き後の父は、こまめに部屋を掃除したり
毎日自炊で母の分も食事の用意をして
定年退職を間近に控えながら
母の供養に、主婦業に努めています。

そして、一週間に一日しかない休みの日は
母に会いに行くのです。

母のお墓は小高い日当たりの良い境内に建っており
すぐそばには桜の木が立っています。

桜は古より女の憂いを浄化してくれる木です。

そんな桜の木は、残された私たち家族を見下ろしながら
この悲しみも吸い上げ
浄化の花を咲かせながら天に昇っていくことでしょう。



素材:十五夜


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