呟き・その2
あなたは60歳で逝ってしまった
早かった 早過ぎた
でも 娘の占いではもっと早い
もっと若い短命の相が出ていたそうだ
私たちには娘が二人居る
娘の占いが現実のもので
この悲しい出来事が
子供たちがまだ学生の頃に起きたとすれば
大変な苦労の始まりだっただろう
60歳は確かに若い しかし
あなたは逝くまで一生懸命頑張ってくれた
私たちの不幸を少なくするために
お母さん 本当にありがとう
この頃ずいぶん元気になりました
いままでは
テレビはつけているだけでした
新聞はめくっているだけでした
でもこの頃
テレビを見てやっと笑えるようになりました
新聞の記事がやっと読めるようになりました
お部屋もこまめに掃除機かけてます
お母さんが気持ちよく居られるように
あなたも私が元気になる事を
望んでいますよね
すいぶん元気になりました
昔は「人生50年」と言いました。
でも、今は「人生80年」どころか
「人生100年」と言われるほどになっています。
だけど、母の人生は60年。
それを「運命」「寿命」の言葉で消化するのに
自分の気持ちを納得させるのに
ずいぶん時間がかかりました。
それでも時々母の面影を思い出し
不意に涙がこぼれます。
そんな時、まるで呪文のようにつぶやくのです。
「お母さん・・・お母さん・・・」
母の返事を期待しないで・・・・・・。
素材:MILKCAT様