母の病気



母は平成12年から甲状腺機能障害になりました。

当初は2年間『メルカゾール』というお薬を飲みましたが
メルカゾールはアレルギーを起こす人が多い薬で
けれど母は大丈夫でした。

甲状腺の状態が安定しましたので薬をやめましたが
また悪くなってきたので
前回飲み終えてから丸1年以上してから
再びメルカゾールを服用したのです。

これと同じ頃に体調を崩したので
メルカゾールの副作用だと思われてしまったのが
本来行われるべき治療が遅れた第一の原因でした。

実際の母の病気は膠原病でした。
しかも
中でも難病指定とされている『皮膚筋炎』という病気です。

母の入院中の様子などは「母の闘病日記」をご覧いただくとして
母の直接の死亡原因となったのは「間質性肺炎」です。

母の場合、入院時の胸部レントゲンにハッキリと映る
肺炎を見逃された挙句
見当違いの間違った治療を二週間も受けていたため
病状を悪化させ
ほとんど手遅れのような状態で
専門的な治療を受けることになりました。

皮膚筋炎は肺に炎症を起こし呼吸困難をきたす間質性肺炎
とくにその急激に進行するタイプ(急性間質性肺炎)が
一番問題となっているのです。

残念ながらその原因はいまだ不明で
治療法も確立されていません。

この病態の解明と有効な治療法の開発が
膠原病の治療の中でも最も大きな課題となっています。

以下に記載したそれぞれの病気の説明文は
『家庭の医学』に掲載されている中から抜粋したものになりますが、
「間質性肺炎」の治療は副腎皮質ホルモン剤の投与一択という
とてもシンプルな治療で、
家庭の医学には、効果は良好と記載されていたのですが、
まれに効かない場合もあるとも記載されており、
母はこの「まれ」に当たりました。

副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)が効かず
肺に水が少しづつ溜まっていき
まるでおぼれた人のように窒息死していったのです。

以下、家庭の医学より抜粋記述です。


膠原病-こうげんびょう-


体内の細胞と細胞の間
あるいは臓器と臓器の間をつないでいるのは結合組織で
その主要構成成分はコラーゲンと呼ばれるたんぱく質です。

結合組織、とくにコラーゲン(日本語で膠原)を
全身的におかす病気を「全身性膠原病」と呼んだのが
この病名の始まりです。

このように、膠原病は
結合組織の変化に注目してつけられた名前ですから
ひとつの病気の名前ではなく
同じような変化を示すいくつかの病気グループの名前です。

結合組織は全身に分布する組織ですから
結合組織の病気である膠原病の特徴は
全身の多くの臓器に病変がおこるということです。

心臓・肺・関節など特定の器官に限定しておこるのではなく
多臓器の病気です。

膠原病はどの種類であっても筋肉や関節に痛みをおこします。

一方、筋肉・骨・関節などに痛みをおこす病気は
まとめて「リウマチ性疾患」というグループに分類され
膠原病はこのグループに属します。

また、膠原病患者の血液中には
自己の細胞核成分に対する自己抗体がしばしば認められ
これが症状に関係していると考えられるので
自己免疫疾患ともいえます。

膠原病のおこる原因は明らかではありませんが
いつくかの説があり
ウィルス感染が自己免疫成立に関係しているのでは
との見方が今のところ最も有力です。

膠原病は遺伝する病気ではありませんが
親子や姉妹が膠原病になるという例が比較的多い事から
遺伝的要素があると考えられています。

膠原病の主な種類は
慢性関節リウマチ・リウマチ熱
全身性エリテマトーデス・皮膚筋炎
結節性多発動脈炎・進行性全身性硬化症の
六疾患が代表的なものになります。


皮膚筋炎-ひふきんえん-


皮膚筋炎は主として皮膚と筋肉がおかされる病気ですが
皮膚症状のない多発性筋炎という型もあります。

全身性エリテマトーデスよりは遙かに少ない病気です。

小児にもみられますが
40歳以上の発病が多く
女性の患者数は男性の2~3倍です。

他の膠原病と同様原因は不明で
悪性腫瘍を合併する率が高いという特徴があります。

このような点から成人の多発性筋炎
成人の皮膚筋炎、悪性腫瘍を伴う筋炎、小児の筋炎
他の膠原病を伴う筋炎の五型に分類されます。

筋炎というと痛みを連想しますが
主な症状は脱力です。

首・肩・臀部(でんぶ)などのからだの中心に近い部分の
筋肉の左右ともにおこってきます。

嚥下筋(えんげきん)の筋力低下で飲み込みにくいという症状が
最初に出てくることもあります。

皮膚紅斑はどこにでもでますが
両側の上まぶたのはれと紅斑
手指関節背面の少し盛り上がった紅斑は
この病気に特徴的です。

その他、たんを伴わないセキと呼吸困難を示す肺炎も
重要な症状です。

これらの症状と筋肉が破壊されて生じる酵素
「CPK・アルドラーゼ」の血液中の増加
筋電図・筋組織所見で診断されます。

肺炎・悪性腫瘍の合併があるときは経過がよくありませんが
皮膚と筋肉の症状の多くは副腎皮質ホルモン剤
免疫抑制剤で改善します。

一度よくなっても急に薬を減らしたりやめたりすると
再発することが多いので
薬は長く続けなければなりません。


間質性肺炎-かんしつせいはいえん-


肺の間質に主として炎症性病変をきたす病気を
間質性肺炎といいます。

膠原病、薬剤、放射線照射、ウィルス感染
無機塵・有機塵の吸入、サルコイドーシスなどが原因で
おこるとされています。

共通の症状はセキと体動時の息切れです。

風邪のあといつまでもこのような症状が残る場合は
専門医を受診する必要があります。

間質性肺炎では肺胞壁がつぶれて重なったり
肺胞壁に膠原繊維が増加したりして間質が肥厚し
やがて肺繊維症という状態になることがあります。

これらの進行に伴い、呼吸困難も増強してきます。

膠原病による肺炎は
幸いなことに副腎皮質ホルモン剤などの効果は良好で
一般的に予後はよくなります。

皮膚筋炎の間質性肺炎の中には
まれに副腎皮質ホルモン剤が効かないものがあります。

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