祈り
パルス療法はダメだったんだ・・・。
そう思った。
母は明らかに呼吸が乱れていた。
いつもなら呼吸数が20弱なのに、今日は50以上になっていて、しかも、血圧が170を越したりもする。
全力疾走した後のような荒い呼吸をしているのに、薬で眠っているから母の表情は穏やかで、なんだか妙にちぐはぐだった。
また、夜の面会では母の手に触れると、ズーンッと身体が重くなり、嫌な予感がする。
『あと2~3日かもしれない・・・』
母の肺も昨日までは95以上の数値をキープしていたのに、今日は85を切ってしまっている。
明日、肺の病態が進行してしまったら、こんどは75を切ることになるの??
そうしたら、もっともっと苦しげな母を見なければならないの???
母はもう十分過ぎるほど頑張っていた。
それは毎日そばにいる私だからこそ、本当によくわかる。
それでも『頑張って!』『負けるな!』なんて言えなかった。
母にかける言葉がない。
だから、今日はこう祈った。
『助かる見込みがあるのなら、母に力を与えてください。でも、どうやっても、どう努力してもダメなら、もうこれ以上母を苦しませないで・・・!』